【TEAM GRAPHT eSPORTS PRO GEAR STORE NAGOYA】RAZER MAMBA TE/DEATHADDER ELITE 2大マウス比較レビュー
二種 RAZER センサー別比較
フラッグシップの名を冠するMANBAと、長年多くのプロが愛用するDEATHADDER。
形状はどちらもIE3.0クローンの基本的な特徴を持つゲーミングマウスだ。
どちらにも輝かしい肩書が与えられ、万色に光を放つCHROMAはもはやRAZER製品では見慣れた共通点になっている。
ボタンの配置もほぼ同一と言って差し支えなく、見慣れない人からするとどちらがどちらなのか見分けが付かないこともあるだろう。
では、選択者がこの二つのマウスを選ぶ時、どのような部分を見て選ぶべきなのだろうか。
実際のゲームプレイとスペックでMAMBA TOURNAMENT EDITION(後述MAMBA TE)とDEATHADDER ELITE比較してみる。
EATHADDER ELITE:PIXART製光学式センサー(16,000DPI)
MAMBA TE:PHILIPS製レーザー式センサー(16,000DPI)
両者スペック上の違いはほとんどなく、センサーの最大感度は両者16,000DPIだ。もちろんこの数字は大きい方がよく、1インチ当たりどれだけのドット数を読み取ることができるかという値である。
MAMBA TEを裏返してみると、16,000DPIを発生しているセンサーが違うことに気づくことだろう。
左:MAMBA TE底面 同社NAGA系マウスにも同様のセンサーが搭載されている。
右:DEATHADDER ELITE底面 同じくLANCEHEAD等に同じセンサーが搭載されている。
DEATHADDER ELITEの底面に見えているのは、台湾のセンサーメーカー PIXART社のカスタムセンサーであるPWM3389だ。LANCEHEAD や BSILISKの底面にも同じものが配置されており、RAZERの上位グレードマウスの標準センサーと思われる。 他社の似た価格帯で入手できるマウスだと、搭載されるセンサーは同じくPIXARTの汎用品と思われるPWM3360やそれ以下のクラスのセンサーが殆どである。この時点でDEATHADDER ELITEのコストパフォーマンスはかなり高いことになる。ラインナップとしても常に存在しており、プロからの定評もある為に安定的な選択肢として選ばれることが多い。
では、MAMBA TEのセンサーはどうだろうか。センサーの最大感度は同じ16,000DPIだが出生が異なる。生まれはPHILIPS。方式はレーザー式で、センサーそのものの容姿も全く異なる。搭載されたMAMBA TEはDEATHADDER ELITEよりも高価であるが、その価値はあるのだろうか。MAMBA TEより後発なDEATHADDER ELITEが登場しても、DEATHADDER ELITEと同等やそれより安くなるまで価格を下げたり、PIXART製センサーに置き換えられなかったのは何故なのか。
RAINBOWSIX SIEGEの動作で比較してみる。プレイモードはソロのテロハント。
まずはDEATHADDER ELITE。キッチリとエイムにフィットし、自分の反応にどこまでもついてくる。考え抜かれた形状はプレイ中の手からマウスの存在を消し、エイムに集中する私を邪魔することは一切なかった。これ以上の性能があるのか。そう思うほど優秀で、この時点ではMAMBA TEの性能を想像することはできなかった。
やはりMAMBA TEに切り替えてプレイしてみても、抱く感想としては「極めて優秀」といったところだった。形状もDEATHADDER ELITEよりやや膨らんだ形状をしているが、これは力が入れやすく安定させるのに極めて適していた。
しかしこの時点で私は一つ大事なことを忘れていたのだ。上記の段階では私はまだMAMBA TEに秘められた潜在能力を味わっていなかったのだ。そして以下に記述するセットアップを施すことでMAMBAは最大の性能を発揮する。
一度ゲームを終了し、「Razer Synapse」を立ち上げる。一度も接続したことがなかった「MAMBA TOURNAMENT EDITION」を認識したSynapseはすぐにアップデートされ、項目の中に「MAMBA TE」が追加された。
Razer Synapseを立ち上げた様子
追加されたMAMBA TEの中から「パフォーマンス」を選び、ポーリングレートを500MHzから1000MHzに引き上げた。
ポーリングレートとは、「秒間あたりにPCと情報を交換する回数」を示す数字であり、大きな数字であるほど細かな動き、大きく動いた量も伝達されるためゲームをプレイするうえでは有利になる。
次に、「較正」を選択し画面を移す。ここで忘れてはならないのがマウスの初期化だろう。リフト時の挙動が乱れたりセンサーの様子がおかしくなるのを防ぐには、この時点で一度マウスを再起動しておくとよい。再起動の方法は、クリック、右クリック、中ボタンを同時に5秒以上長押しする。
再起動ができたら「表面識別較正の有効化」にチェックを入れる。今回の試用環境はRAZERのマウスパッドGOLIATHUSを使用しているので、「RAZERマット」を選択する。もちろん、他社製マウスパッドなら「その他」だ。手動でトラッキングを行うことが出来るのでどのマウスパッドでも対応できる。当然、万全を期するならRAZERのマウスパッドを使うのがベストと言える。
RAZERのマウスパッドには表面別でCosmic、Terra、Gravity、Fissureがある。他にもプラ系や金属のものもあるが、ここでは割愛する。
使用しているのはCosmicだが、CosmicとTerraはSPEED EDITIONなので、「Razer Goliathus Speed」を選択する。
これでセットアップは完了。RAINBOWSIX SIEGEを立ち上げなおして再びソロのテロハントをプレイしてみる。
見た目でわかるほどの効果はないように思えたが、視線を振る、エイムすると違いを感じ取ることができる。ほんのわずかな動きも逃さず、短時間で行われるエイムも外すことが減った。あくまでも主観であるが、わずかながら明らかなパフォーマンスに差があると感じられた。
これはもしかしたらと思い、DEATHADDER ELITEも同じ手順でセットアップしプレイしてみた。が、こちらは最初の状態とあまりは変わらない印象だった。
ポーリングレートの差は何となく感知できたが、精度に関しては差がないように思えた。しかしこれは悪いことではなく、セットアップせずともほぼ完全な性能を発揮できることを意味する。あくまでも憶測であるが、プロが安定的に選択する理由はもしかしたらこの特徴を踏まえているかもしれない。(使用頻度が通常より多く消耗品として使う為に、単に価格差で選択している可能性も大いに有り得る。)
【まとめ】
両者とも極めて優秀なマウスであり、FPSプレイヤーにとっては最良の選択のうちの二つと言える。
その中でも光学式センサーのDEATHADDER ELITEはクセがなく、接続してそのまま使っても全く問題なくその性能を発揮しきることができる。環境に依存することなく高精度センサーの威力を発揮する。
そしてレーザー式センサーのMAMBAはセットアップを正しく行うことで比類のない、高い性能を発揮する。どのぐらい違うのか、という表現が難しいが、僅かなセットアップ時間とマウスパッド1枚分程度の価格差ならMAMBAを選んでもよいと考えられるぐらいには好感触だった。少なくとも、フラッグシップに恥じない性能には間違いなさそうだ。
そして、どのデバイスであったとしても、使用前に正しいセットアップを施す必要があることを実感した。現在使用しているマウスがRAZERなら一度は試してみると良いだろう。
ぱっと見た目では分かりにくい両者
Razer Synapseで制御できるCHROMA機能で光らせた様子。左のMAMBA TEの方がより細やかで多様な光を制御できる。