発売したばかりのX299マザーボードとIntel Core Xシリーズ。
色々と検証した所、注意点を見付けたので今回はそのお話です!
まずは電源回路の温度のお話。
オーバークロックすると製品によってはすぐに
100℃を超えると海外でも話題になっていたり...
X299マザーボードはこれまでのハイエンドマザーボードと同じく、
CPUソケットの両隣にメモリスロットを備えるデザインとなっている。
クアッドチャンネルを実現するために取られているこのデザインだが、
電源回路の実装面積が少なくなるというデメリットがあるのは既知の事実。
LGA20XX系のCPUはLGA115Xと比べてコア数が多い分電源回路への負担も大きく、
少ないフェーズ数と実装面積の余裕のなさから発熱が多い。
実装面積的に13フェーズ前後が限度で、
これはLGA115X系のミドルレンジマザーボードクラスのフェーズ数だ。
各社が高性能な実装部品の採用でカバーしているものの、
少ないフェーズ数でTDPの高いCPUを動かすので当然事故も多い。
特にオーバークロック時に発熱が顕著で、
ソケット周りにエアフローのない簡易水冷タイプのCPUクーラーを使っている場合は、
電源回路の温度が100℃を超えてしまい、
クロックがドロップしたり動作が不安定になる場合が多い。
最悪の場合電源回路が焼損してしまうので注意が必要だ。
ここで有効なのがトップフロータイプのクーラーなのだが、
冷却力的にSkylake-XなどのハイエンドCPUに使うには心許ない。
そこでお勧めしたいのが、
水冷ヘッドにファンを搭載したCRYORIGの簡易水冷クーラーのAシリーズだ。
現在品薄らしくネットショップでは売り切れなので、
下記にディラックさんのリンクを貼っておきます。
ちなみに店頭には在庫がございますので、気になった方は各地のツクモにお問い合わせを...
シミラボにて、Core i9-7900XとA40 ULTIMATEを用いて定格状態で検証を行ったが、水冷ヘッド部分のファンを回す事で電源回路の温度が
76.2℃から
56.4℃まで低下する事を確認している。温度計測はK型熱電対を電源回路の実装部品上に貼り付けて行っているので、ソフトウェア読みではない実際の温度となっている。
ちなみに、シミオシは厚型240mmラジエターのA40 ULTIMATEか薄型280mmラジエター搭載のA80です。
ケースに合わせて選んで頂ければ幸いだ。
電源回路の温度はオーバークロック時の安定性だけでなくマザーボードの耐久性と寿命にも直結する部分なので、悩んでいる方は是非ともCRYORIGのAシリーズを試してみて欲しい。
Broadwell-Eと比べてオーバークロック時の消費電力が多目なSkylake-Xは、
電源との相性がよりシビアになった。
CPU用の補助電源の実装が8pin×2本や、8+4pinのマザーボードでは問題は起きにくいが、
8pin×1本のマザーボードで10コアのCore i9-7900Xを使用する場合に、
+12Vがマルチレーン仕様の電源を使用しているとオーバークロック動作が不安定になる場合がある。
これは、8pin×1仕様のマザーボードだと+12Vの1レーンに対する負荷が高くなるのが原因で、
負荷を掛けると電源の保護回路が働いたり限界が来る等して、
フリーズしたり電源ごとシャットダウンするなどの症状が見られる。
シミラボでのテストで+12Vが30Aのマルチレーン仕様の電源でもこの症状を確認している。
+12V=30Aというとマルチレーン仕様の電源ではハイエンドに属する部類なので、
ハイエンド製品を使っているからと言って油断は禁物。
Core i9-7900Xをオーバークロック常用したい方は、
+12Vがシングルレーンの電源を使うのが望ましいだろう。
PLATINUMクラスでなくとも良いので60A以上を目安に選ぶと失敗は少ないはずだ。
もちろん6コアや8コアのモデルを使っている方、購入しようとしている方も、
電源はシングルレーンが絶対お勧め!
下記にお勧めの電源を数点挙げておくので、
購入時に参考にして頂けると嬉しい。
▼Cooler Master V1200 Platinum ツクモ(ネットショップのリンクはこちら)
1200Wクラスならコレ!
極冷OCで2年以上使ってますがまだ壊れていない。
80PLUS PLATIUMで+12Vは圧巻のシングルレーン 100Aという仕様。
▼Cooler Master V750 Semi-Modular ツクモ(ネットショップのリンクはこちら)
コスパ重視派にお勧めの750W電源。
80PLUS GOLDで+12Vがシングルレーン 62Aという仕様で安心。
上記以外だと、Seasonicのシングルレーン電源や、
Cooler MasterのMasterWatt Maker 1200 MIJもお勧め!
今回特に注意したいのがCORSAIR製の電源で、
メーカー表記では+12Vがシングルレーンとなっているが、
実はマルチレーン仕様だったりする。
デジタル制御を採用する同社の電源は、
ファームウェアの設定によって仮想マルチレーン仕様となっているのだ。
付属のケーブルをマザーボードのUSBピンヘッダに接続した状態で、
独自ユーティリティの"CORSAIR LINK"をダウンロードし、
保護機能が働く上限値を上げないと、
OC時にシャットダウンする事があるので注意して欲しい。
ちなみにだが、某マザーボードベンダーの検証では、
AX1200iでさえ30Aで保護機能が働くようになっているらしい。
CORSAIR LINKダウンロードリンク
設定画面の緑枠内のスライダを右に動かすとOCP上限を変更可能。
40Aに設定すればオーバークロック時も安心だ。
意外と知らない人もいるこの機能だが、
該当のCORSAIR製電源を愛用中の方は一度チェックしてみて欲しい。
今回のシミブロはここでおしまいだ。
X299マザーをご検討中の方は、クーラーと電源に気を付けて下さい!